6月の通信から

二岐山

日曜日の昼前、夫と二岐山の山麓を歩いて来ました。ブナや水ならの若葉の間からの柔らかな木漏れ日の中を歩き、霧のような水しぶきをを肌に感じながら、清冽な水が溢れ出てとどまることなく岩肌を流れ落ちる滝を見上げました。この季節、山ではハルセミの鳴き声が林の中に響きわたっています。里では聞くことのないハルセミの「カナカナカナ・・・」という鳴き声は、夏の朝夕に鳴くヒグラシの鳴き声を少し柔らかくした感じでしょうか。ヒグラシによく似たハルセミの鳴き声を聞いて、夫はめずらしくしんみりとした口調で、「この鳴き声を聞くと『ああ今日も一日が始まる』と思ってつらかったことを思い出す」と言いました。子どもが不登校を始めたころ、親も毎晩不安のまま床につき、熟睡できないまま朝4時過ぎには目覚めてしまいました。ちょうどその時刻は一斉にヒグラシが鳴き始める時間だったのです。「ああそうだった」と季節の変化も目に入らないほどに、子どもの不登校にとらわれていたころを思い出しました。子どもの心の内を想像することに思いいたらず、「学校へ行ってさえくれれば・・・」と願っていたころのことです。

そんな不安の中、初めて参加した93年の夏の合宿は忘れることができません。
会場いっぱいの人を見て、「不登校がこんなにたくさんいる」と驚きました。
講師の方々が、当事者と対等な目線で話をする姿がとても新鮮でした。上からの目線の中で人は心を開くものではないことを身をもって知ったものでした。

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