11月の通信から

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山際にある、わら小屋のトタン屋根の上に、パランパランとドングリがひっきりなしに落ちては転がり、秋の音楽を奏でています。色づいた柿の葉がすっかり落ちて庭を埋め尽くし、いよいよ晩秋の気配が色濃くなり、わが家のストーブには夫が割った薪が赤々と燃えています。夕焼けにからすも家路を急ぐ季節になって来ました。みなさんいかがお過ごしですか。

夕暮れ時、季節のせいか何となく憂鬱な思いにとらわれて買い物をしていたら、笑顔でかけ寄ってくる小さな姿・・・保育所でいっしょに遊んだ子どもたちでした。退職して2年になるのに覚えていてくれて、私の姿を見つけてかけ寄って来てくれたことが嬉しくて、気持ちが明るくなりました。やはり、子どもの笑顔にまさる活力源はありませんね。わが子が思春期、青年期になって、むずかしい親子関係になったときも、幼いときのエピソードを思い出すと、いとおしく思えました。

子どもが幼いときは、この笑顔をずっと守ってあげたいと思ったものでしたが、子どもの人生は子ども自身のもので、彼らが長ずるにつれて出会う人生の深い体験は、親といえども分かち合えなくなり、ただ見守ることが多くなって来ました。

10月末のある日の深夜、電話の音に胸騒ぎを覚えながら受話器を取ると、「今、亡くなりました。最後にお話して眠るような最後でした。今日は、わざわざ来てくれてありがとう」と息子から、恋人のお母さんが亡くなったという知らせでした。上京した三男を「子どもが増えたよう」とかわいがって面倒を見てくれていた方でした。今年の桜が最後になるかもしれないからと、春にはわが家の桜を家族そろって見に来てくれました。電話の向こうで息子の嗚咽する声が聞こえました。こんなときにかけてやれる言葉の持ち合わせもなく、受話器を握りしめては「がんばったね」と慰めにもならない言葉を言うのがやっとでした。

彼が徹夜で編集したビデオには、好きだった曲をバックに、元気な笑顔がたくさん映っていて、それが告別式に参列されたみなさんの涙を誘いました。ビデオを見ると、息子が、亡くなったお母さんを愛し、心を込めてつくったことが伝わって来ました。親元を離れて上京してからの彼の人生に関わってくれた大切な存在だったのだと思います。感謝の気持ちを伝えきれなかったことを悔やんでいます。

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