2016年7月の通信から

つい先日裏山の竹の子と格闘していたと思うのに、家の前の畑には夏野菜が顔を出し始めました。季節の移り変わりが早く感じる今日この頃です。
震災から5年4ヶ月が経ちました。あの年、震災の1か月後に、震災のごたごたの中で、母が亡くなりました。母の四十九日が過ぎて、2年数ヶ月ぶりに保育士として再就職しましたので、私も今の職場で丸5年が経ちました。
最近、生後2ヶ月の赤ちゃんが入園し、その子を抱き上げたとき、初めてわが子を新生児室から受け取ったときの感覚を思い出しました。「こんなに小さくて軽い子どもを育てられるのだろうか」と思いました。30数年も前の事なのに、その時、腕に感じた息子の軽さと自分が感じた不安な気持ちを鮮明に覚えています。親になった責任感に押しつぶされそうになっていたのですね。ずっと、わが子を抱いて不安になったその時の自分を恥じていましたが、尊敬する小児科医の毛利子来(たねき)さんの、初めての子どもを抱いたときに、とまどいと不安を感じたというようなことが書かれた本に出会い、安心したのでした。そんな私も、次男、三男の頃にはその可愛さを心から感じることができました。
不登校の親の会で、子どもが不登校になり家で過ごすようになってから、子育ての楽しさを味わったという方に出会い、勇気づけられたことがあります。世間や学校を通したメガネで子どもを見るのではなく、わが子の持ち味を愛しみながら、ゆったり流れる家族の時間を大切に過ごせたらいいですね。
先日の講演会で、あの震災の年に高校生だった子が、当時の教員に「震災は福島のこと、受験は全国区だから震災のことを考えずに受験のことを考えろ。」と言われて受験勉強だけを続けて大学に入ったが、それでよかったのかと今も考えているという話を聞きました。震災から5年が経ち、大学を卒業した今も自問自答する若者の苦悩を垣間見ました。昨年は福島県の子どもの自殺が多い年になりました。チャイルドラインの年次報告には、全国の電話の集計が掲載されますが、いじめ、人間関係に関わる電話が福島は全国に比べて多くなっています、これからも子どもを通して社会のありようを見続けて行きたいと思います。
疲れて心の余裕がなくなったとき、星野道夫さんの写真集をめくります。
「あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい。」という星野さんの言葉が、アラスカの大自然の中でたわむれる熊の親子の写真の横に書き添えられていて、眺めていると心が安らぎます。

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